手をのべて とどかぬ先の 凍り月 ~ハイジンへの道~
手をさしのべてみたとき、その先にあると思ったものは、思いの外遠くにあった。あると思っていたものが、遠くにいってしまった。その彼我の隔たりに、呆然とし隔たりを埋められぬことを諦観し、思ひ断つ凍り月は怜悧な佼人か冬の夜、月あかりの中、歩いていた二人の影が重ならないこと、重ねられないことを描きたくなった。片月の 光淡き 夜の街片月の 光淋し...
View Article淡雪の 儚きように 手を重ね ハイジンへの道
淡雪の 儚きように 手を重ね 繋いだとはいえない、重ねただけの手と手、握り返されることないことの酷薄さ 繋ごうとした手の幼さ、小さいことを重ね合わせて詠んでみたかった。 ビートルズの「抱きしめたい――I Want To Hold Your Hand」の感じかな。(手を握りたい! をなぜ、「抱きしめたい」と訳してしまったのかな?)...
View Article露天風呂 頭寒足熱 雪景色 ――ハイジンへの道―― 付都々逸
う~ん、寒い中、ビジネスホテルの露天風呂に入って、 浮かんだのだが、これはまだまだ 四文字熟語みたいなものだ。 まだまだ遠い。 そういえば、都々逸も楽しそう可哀そうだよズボンのおなら 右と左に泣きわかれとかおろすわさびと恋路の意見 きけばきくほど涙出るなんて、粋な都々逸ひねりたい。http://www2.nsknet.or.jp/~mshr/asobi/dodo1.htm
View Article猫と猫 陽を背まどろむ 春淡し
猫と猫 陽を背まどろむ 春淡し 暖かった今日、日差しの柔らかさ、風のぬくもりを 猫にたくしてみた。春淡し 背に陽まどろむ 猫二匹猫と猫 陽に背を向けて 春淡し桜降り 別れて出会い 道を往く 春は嬉しい。とくに今年は寒い冬を越えたので、喜びもひとしお しかし、春は別れの季節でもある。 息子のクラスは、同じ学校に進級する子はほんの一握り、みんなバラバラになる。...
View Article冥き街 星も鮮やか 春の月
冥き街 星も鮮やか 春の月 夜の銀座が、とても暗かった。 見上げると 上弦の月が見える。 星の瞬きも見えるようだ。 街並みが、弔っているような。 二十数年前の、大喪の礼の時もそうだった。 あの時、渋谷のハチ公前のスクランブル交差点が、ほとんど真っ暗で、とても怖かったのを思い出す。 街灯だけの東京の街は、なんと暗さに沈んでいた。
View Article年齢売買商会 田町支店
1991年、東京クリエイティブクラブ発行のアンソロジー「TOKYO RAIN」(自費出版)に収録山手線の各駅を舞台に、6名が数駅ずつ分担して物語を書いたのである。...
View Article新入社員斉木真理恵は真夜中に……
久しぶりに天狼院書店サイトに掲載されました。短編の物語です。楽しんでいただければ幸いです。新入社員斉木真理恵は真夜中に……思いの外、たくさんの人が来ている。俺は二階あたりから階下のようすを見ていた。ふ~ん、こんなに来るのか、そんなに捨てたものではないな、俺も。集う人たちを見ながら、一人の人のことを思っていた。彼女は来るのだろうか?あれは、彼女の上司、いや先輩だ。彼も来てくれた。それなら、あ、彼女だ。...
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